研究概要 |
平成9年度の研究対象は、Pedro de Ribadeneyra:Tratado de la religion y virtudes que devetener el Principe Christiano, para gouernar y conseruar sus Estados.Contra lo que Nicolas Machiauclo y los Politicos deste ticmpo cnsenan(1595)であった。平成8年度のAntonio Possevino研究では、Possevinoはマキアヴェリの『ローマ史論』を「短時間で政治の実践に関連のある有益な資料、情報及び資料」を得ることができるとマキアヴェリへの評価の一面を示していたが、Ribadeneyraは徹底してマキアヴェリを批判している。Ribadeneyraの一貫した姿勢は、国家と宗教を切り離して考えることは不可能であるというものである。マキアヴェリはまさに国家と宗教を切り離し、宗教を国家及び為政者の道具と見なし、宗教を著しく軽視した。Ribadeneyraの書の出版を認可したPedro Lopez de Montoyaが、Ribadeneyraの書にはカトリックの信仰に反するものは何もなく、それはむしろカトリックの信仰を擁護し、敬虔と博学と思慮深さで「政治家」と呼ばれる異教徒が提案する虚偽の非現実的な考えを破壊し、カトリック君主が従うべき道を教えている、と言っているように、蔓延しつつあったマキアヴェリズムを真っ向から否定する伝統的な有徳君主論なのである。Possevinoのマキアヴェリ批判を継承し、マキアヴェリ批判に徹底したことは彼の論点の限界でもあり、デメリットでもあった。今後の研究課題としてRibadeneyraにとってマキアヴェリは単なる批判の対象でしかなかったのかということが考えられる。
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