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1996 年度 実績報告書

イギリス文学モダニスト理論に関する実証的研究-グレイヴズ/ライディングを軸として-

研究課題

研究課題/領域番号 08610482
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

園井 英秀  九州大学, 文学部, 教授 (00069709)

キーワードモダニズム / ジョージアニズム / グレイヴズ / ライディング
研究概要

本研究の目的は20世紀初頭イギリス文学においてモダニスト思想は究極的に不定着であるとする仮説を、ロバート・グレイヴズ/ローラ・ライディングの共同文学活動を軸として実証的に検証することにある。本年度は1920年代イギリス詩に対する初期モダニズムのインパクトをグレイヴズ/ライディングの批評理論と詩作において検証し、さらにそれが両者の批評及びそのプラクシスとしての詩作における有意義な差異として理解し得るか否かを主として検討した。検討の結果は文体的分析による部分については以下のとおりである。総合的分析は次年度へ継続する。
1926年以前のグレイヴズとライディングの初期詩作における文体には明確な差異を指摘しうる。グレイヴズの文体は、(1)基本的にバラッドリズムによるためジョージアンの特質たる弛緩したナラティヴ詩に適合し事実その主題が多い、(2)イメージ形成の形容辞(エピセット)が反復的に使用され、抽象化が行われない、(3)主題表現の集中性を欠き文体的特色が一定ではない。これに比しライディングの文体は(1)単〜2音節程度の短い単語、短い詩行が用いられ主題表現が集中的である、(2)詩的イメージがコラージュとして示され抽象的、かつ示唆的である、(3)T.S.エリオット等のモダニスト詩と異なる特質、例えば芸術領域横断的表現(絵画的、音楽的等)、は見られない。以上の所見からグレイヴズに対するライディングの文体的影響をある程度指摘し得ると考える。批評活動(コラポレイション)においてはA Survey of Modernist Poetryその他の初期批評から30年代のEpilogueに至るまで、グレイヴズは経験主義的反理論的立場、ライディングはモダニスティックないし知的論理的スタンスを保持し、両者の感覚的同調はむしろ見出し難い。以上の所見からグレイヴズのモダニスト文学への接近は、文体的には影響を受けながらその理論への本質的同調はなされないという予測が得られる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 園井英秀: "EPILOGUEにおけるモダニスト批評とその理論的限界" 『文学研究』. 第93巻. 1-20 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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