現存する中英語を含む写本を調査するため、現在利用可能なイギリスの図書館の写本目録に目を通し、カタログからだけでは中英語のテキストが収録されているかどうかが定かではない場合は、学会や調査研究にイギリスへ出かけた際には必ず機会をとらえて、ケンブリッジ大学等の図書館の写本室で実際の写本にあたって確認をする作業をした。またそこでは日本ではすでに絶版になっていたり、手にとって見ることさえ不可能な写本目録に時間の許す限り目を通した。さらに専門分野の洋雑誌で書誌学的な内容を扱ったものには、中世においてある特定の図書館に存在した写本のリストが掲載されていることもあり、日本では見ることの出来ないものは全てコピーをとって持ち帰り、利用し易いようにA4サイズにまとめファイルにまとめた。洋雑誌については、20世紀の初頭、欧米で優れた中世を専門とする書誌学者が多く出たこともあり、かなり古いバックナンバーで役に立つものがたくさん見つかった。貴重な資料である。またインターネットを利用して、海外の学者から写本についての情報を集めることができた。今回のリサーチのために特に作成したフォーマットには、目録から得られた各写本に関する様々な情報を、写本の蔵書地のアルファベット順に、図書館名・写本登録番号・書かれた時期・羊皮紙か紙か・写本のサイズ・一段組みか二段組みか・書体・そこに含まれる主な作品・テキストの言語・写本から知られる中世および近世における所有者と利用者・参考文献などの項目別にコンパクトに1写本1フォーマットに収めるよう工夫した。コンピューターにインプットする作業も同時に進めた。
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