1.平成8年度研究報告 (1)画像処理システムの構築 中世ヨーロッパ写本35mm図像フィルムをデータベース化するためのコンピュータ処理システム(パーソナルコンピュータ、ディスプレー、35mmフィルムスキャナー、MOドライブなど)を構築した。 (2)異界関係資料入力 入手した異界(楽園、煉獄、地獄、夢世界など)に関係する35mmフィルム画像をスキャナーを通じてコンピュータへ入力し、MOディスクに保存した。これと並行して、H.R.PatchやAlison Morganなどの異界論述を中心に異界構成要素の分類・確認を行った。中世の文献や写本図像の研究を通じて特筆すべき知見は、これらに古典古代思想と中世キリスト教社会の聖書思想が混在し不可思議な来世観・宇宙観を形成している点である。この見地から、本研究は中世人の魂に対する精神構造の探求に有益であると思われる。 (3)中世写本図像の収集 中世写本図像の資料収集手段として、諸種の研究論文の挿し絵、美術雑誌、歴史雑誌により、あるいはインターネットを利用することにより、海外の図書館、美術館等の図像写真を入手した。 2.平成9年度研究計画 平成8年度は主に研究資料の収集・入力を行ったが、平成9年度はこれらを基にして異界の特色の具体的分類を一覧表にし、中世ヨーロッパ社会の死生観について学会発表を行う予定である。
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