フランスのメリュジ-ヌ伝説は日本では豊玉姫伝承であるといわれる。しかし、ホデリ尊と豊玉姫が出会う契機をみるとこの伝承はフランスでモルガン型というタイプに属することがわかる。一方、蛇女との出会いではホムチワケとヒナガヒメの物語があり、このほうが、日本では道成寺伝承につらなり、より定着している。これまたメリュジ-ヌ伝承とは隔たりがあるが、中国やアジアの類話をみると、これもやはり汎ユーラシア的な広がりをもった伝承であることがわかる。そもそもフランスのメリュジ-ヌ伝承はスキタイ起源であるとも言われるが、スキタイからスラブ、ギリシャとたどってゆくと、原神話からの変化の様子が浮かび上がる。フランスでもアルプス地方の伝承をより古い物とし、それと日本のヒナガヒメ伝承をつなぐ線を現在追跡中である。
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