1.研究の第一段階として資料母体をつくることに努めた。まず、このために必要な研究環境を整えた。これにより学内LANを通じてinternetを使用することが可能になり、内外の研究機関から参考資料を入手することができるようになった。この方法でパリ第7大学言語学科から科学論文中の属詞動詞の用例を送付してもらい、カード化して分類し、研究の資料とすることができた。 2.本年度は、研究課題「フランス語の属詞動詞構文と存在・移動動詞構文」のうち、主として属詞動詞devenirに注目し、この動詞と前置詞句との結合を記述、分析した。先行研究、文法書ではdevenirと前置詞句の結合はほとんど注意がはらわれていないが、新聞(le monde)、文学作品(discotext)のCD-Rom等に収録された使用例を見ていくことにより、この結合が不可能でないこと、また、これが可能になる条件の一部を明らかにすることができた。この研究の一部は96年9月ミュンヘン大学で開催された第15回ヨーロッパロマンス語比較文法・語彙コロキアムで"On attributive constructions:devenir+preposition"と題して発表し、出席者たちから今後の研究に有益なコメントを得ることができた。今後の課題はフランス語の他の属詞動詞について資料を整理、分類し、属詞動詞用法と存在・移動動詞用法の比較を進めること、前置詞の特性を検討することである。
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