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1997 年度 実績報告書

16世紀市民層の遺言書におけるテクスト構造の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 08610512
研究機関広島大学

研究代表者

小野 光代  広島大学, 総合科学部, 教授 (40002985)

キーワードトルナヴァ資料体 / 16世紀市民層 / 遺言書 / 近世ドイツ社会 / 近世ドイツ語 / テクスト構造 / 初期新高ドイツ語 / 史的社会言語学
研究概要

この研究の目的は、具体的な資料において近世ドイツ語実用散文のテクスト構造を分析し、その社会的コミュニケーション機能の特質を考察することである。言語の史的研究は従来まで主として言語の文法レベル、すなわち音韻、形態、シンタックスおよび語彙を対象としてきた。しかし社会言語学の見地からは、社会的伝達手段としての言語を捉えることが重要であり、そのことは史的研究においても可能であると考える。特にドイツ近世社会では実用の領域における書き言葉としてのドイツ語使用が始まり、増加した。その担い手は新しく勃興した都市の市民層である。実用の領域のドイツ語使用の初期の段階では、市民の関わる文書は極めて限定される。ここでは遺言書を扱った。社会的コミュニケーション上の意図が明確な遺言書において、この作成者の意図が近世ドイツ語文書のテクスト構造上、どのように実現化されているかを考察した。他方の小都市の16世紀の遺言書資料体を対象として全てのテクスト構成要素を分析し、不可欠の要素として4つ(名乗り、日付、作成の宣言、証人の指定)、と準不可欠要素3つ(神への呼びかけ、作成者の能力確認、埋葬の指示)を抽出し、約100語からなるプロトタイプを作成した。次の段階はドイツ語圏他の地域の遺言書との比較であるが、資料収集と分析作業の段階で、新たな課題が加わった。遺言書をいうテクストゾルテの概念規定と、都市法による遺言書作成関係法の確認である。テクストゾルテに関しては主としてGrolimundを検討し、史的文書のテクストゾルテの概念規定は、まだ確定されていない、という結論に達した。今後この課題を考えてゆく。都市法に関しては遺言書資料がよく整備されている北ドイツ各都市の規定を検討し、これがテクスト構造に大きく影響していることを確かめた。標準語成立過程を解明する上で、新しい視点からの基礎資料の一つが提出できたと思う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 小野光代: "トルナヴァ資料体の言語的特徴について(2)" 広島ドイツ文学. 12. 1-18 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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