研究概要 |
1. 欧文OCRによる平成9年度に完成した5種類の>Physiologus<テクストのデーダベース(電子テクスト)のうち、まだコンコーダンス化されていなかったMillstatter Handschriftの電子テクストから、名古屋大学重見晋也氏の、UNIX:Perl言語に基づくコンコーダンス作成プログラムCONTEXを援用することにより、テクスト・コンコーダンスを作成した。これにより、同Millstatt写本を底本とするMillstatter Editionコンコーダンスとの統計的な比較が可能となり、F.MaurerによるMillstatter Editionの編纂の傾向と問題点の解明とが容易になった。 2. 平成10年9月に、ドイツ語圏で最も権威のあるドイツ中世文学・語学及び歴史言語学学会とされるWolfram von Eschenbach協会会長であり、特に古高ドイツ語の専門家であるドイツ連邦共和国Saarland大学近代言語学文芸学部ドイツ語学文学科のWolfgang Haubrichs教授と、更にOswald von Wolkenstein協会会長・相関文化ゲルマニスティーク協会(GiG)会長であるSalzburg大学ドイツ文学語学科のUlrich Muller教授をそれぞれ現地に訪ね、当該研究の古文書学的分析の問題点及びコンコーダンスの応用に関する詳細なレヴューを受けた。 3. 平成10年9月25日に相関文化ゲルマニスティーク協会(GiG)Kaprun/Salzburg大会で、当該研究に関連する,,Die Kaonbildung in der japanischen Germanistik“と題する研究発表を行なった。日本におけるドイツ中世文学語学研究(Mediavistik)の方法論や現状に関する貴重な質疑応答と意見交換が活発になされた。 4. 最終段階では、(1)OCRによるRudolf von Ems:>Weltchronik<の電子テクスト化を完了し、(2)重見氏のCONTEXを援用し、>Weltchronik<の電子テクストからテクスト・コンコーダンスを作成した。最終報告として、Millstatter Handschriftの>Physiologus<とRudolf von Ems:>Weltchronik<の両コンコーダンスが公開される予定である。
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