研究概要 |
本研究は、欧州統合へのプロセスのなかで、いかなる外国語教育がEU(欧州連合)レベルで実施されているかについて、「リングァ計画」に焦点をあて、そのなかでもとくにドイツ語教育をひとつの事例として、その内容を出来る限り具体的かつ実証的に明らかにしようと試みるものであり、平成8年度から3か年計画で行われているものである。 筆者は、第1年目において「リングァ計画」に関する基本的な資料の収集につとめた。本年度は、これら資料のほか、インターネットを使用して入手した最新の情報について、その翻訳・分析に着手した。また新たに同計画を含むEUの教育計画および教育計画全般に関わる文書を購入し、これら各種資料を項目ごとに分類を施す作業を開始した。 とくに本年度は、(1)「エラスムス計画」とリンクして、ドイツ語教員のためにどのような現職教育が施されているか、(2)そのためにドイツ語教員用にどのような教授資料が開発されているか、(3)学生側から見るとどのようなカリキュラムが提供されているか、といった観点に立って問題点を整理し、EUのこうした試みからわれわれはどのような知見を得ることができるかについて考察を試みた。その成果については、1997年度日本独文学会秋季研究発表会(平成9年12月6日,於:沖縄国際大学)において口頭発表した。またその際の発表原稿を骨子として、同学会教育部会の機関紙『ドイツ語教育』第3号(近刊)に論文「EUのリングァ計画とドイツ語教育」を執筆した。
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