研究概要 |
本研究は、ヨーロッパ統合へのプロセスのなかで、いかなる外国語教育がEU(欧州連合)レベルで実施されているかについて、 「リングァ計画」に焦点をあて、そのなかでもとくに「外国語としてのドイツ語」という観点から、その内容をできる限り具体的かつ実証的に明らかにすることを目指し、平成8年度から3か年計画で行っているものである。 研究の最終年度である本年度においては、これまでの2年間における成果を踏まえ、わが国が抱える外国語教育の問題点にとって、次の2つの点でとりわけ示唆に富む点が多いことを明らかにした。 第一に、EU加盟国内で、さらには広くヨーロッパにおいて、国境を越えて組織化され、実施される「パートナーシャフト」について、幅広い合意が得られているという点である。 第二に、リングァ計画では、最終的な成果に至るプロセスを、それが失敗であれ、成功であれ、明らかにし、広く公開しているという点である。 本年度は、以下の2つの論文を執筆し、こうしたEUの試みについて、私見を交えつつ論及した。 (1) 「EUの『リングァ計画』とドイツ語教育」(日本独文学会ドイツ語教育部会『ドイツ語教育』3号,1998年所収) (2) 木戸芳子「EUの外国語促進計画-リングァ計画を中心にして」 (『東京音楽大学研究紀要』第22集,1998年所収) ヨーロッパにおけるこうした試みを、わが国におけるドイツ語教育に今後どう応用していくかが、これからのわれわれの課題である。
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