本研究は、長年の南アフリカ文学の研究成果のうえに、文部省の科学研究費補助金を受けて研究を行なった。1997年度に関しては、これまで入手が困難であった南アフリカ文学に関する資料を収集するとともに、新しい文学研究の動向を探った。とりわけ、真実和解委員会で報告される女性の証言を中心に資料を分析することができたのが研究成果である。しかし、膨大な資料の収集は十分であるとはいえず、今後もひきつづき行なわなければならない。 南アフリカ文学の動向は、南アフリカの政治状況の変化とともに絶えず変化しているので、現代南アフリカ文学の展望をつかむのはなかなか困難であるが、個別の作家研究と、社会状況を把握する方法をとっている。したがって、1997年度は真実和解委員会での女性の証言は、現代南アフリカ文学の背景を理解するうえで非常に有意義であった。 そして、1998年3月にテキサス大学で開催されたアフリカ文学会で新しい南アフリカ文学における女性の語りの文学について研究報告ができた。
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