1.研究目的 北方ユーラシア諸民族の「言語的な事実」と「19世紀の言語改革=近代言語学史」の二点を同時に対照・考察し、諸民族の近代を探る。 2.二年度(平成9年度)に得られた新たな知見と研究展開 (1)初年度(平成8年度)に『村山七郎先生とその時代』とする著書を作成し、国内外・二百余カ所に頒布した。反響は大きく、修正すべき点の指導をうけた。また、村山の原稿・カードから、ドイツ・ロシアの言語学者の源流である19世紀の言語学者関係のデータを整理し、多面的に考察中である。 (2)ハプスブルク=ドナウ河、ロシア=ユーラシア(シベリア〜ヴォルガ河〜黒海〜コーカサス)、中国北方=モンゴル高原・満州地域、これらの南にあるトルコ語圏、の4言語連合地域を設定し、研究目的に沿って研究を続行した。 まず、『アルタイ語のはなし』としてアルタイ諸語およびその近代の文法観について、21世紀の研究の基礎となる概説をまとめ終わり、その再検討に入っている。 次に、ハンガリー語とロシア語・トルコ語との言語接触関係について考察した。 第三に、トルコ共和国イスタンブール市・イェディ・テペ大学のT.テキン氏(前アンカラ・ハジェト・テペ大学トルコ学主任教授)よりトルコ語の近代について指導をうけた。 第四に、野村正良(東京帝国大学卒業論文・東京大学学位論文)の研究と噛み合わせ、『ツングース語と東アジアの言語.中国北方の言語連合』をまとめ印刷した。なお、今回は活字印刷とした。
|