日本の既成市街地では、特に大都市周辺の低層住宅密集市街地において、建築物敷地が概ね狭小であり、土地利用の単位がきわめて小さいことから、都市環境、防災性等に重大な問題が発生している。このような敷地規模に関する要因は固定資産税、相続税等に関する小規模敷地の優遇制度、容積率規制、都市計画制度、政策金融、土地区画整理事業・市街地再開発事業、建物の区分所有に関する法律等さまざまな法制度が関係している。 敷地共同化の課題としては、借地借家法の正当事由制度の自由化、地権者増大の抑制、税法の歪みの是正、交渉ルールの設定・明確化、政府の失敗の解消等の取引費用の低減措置がまず重要となる。また、敷地が狭小であることそれ自体が発生させる外部不経済性のコントロール手段が、現在は法制上不十分なままとなっているが、経済的インセンティブ等の制度化によりこれらの解消の余地がある。 いずれにせよ、敷地の共同化を促進することは、土地の有効利用、住環境・防災対策上も重要な意義をもつが、現行の制度の多くがこれに対応しておらず、政策の再編成の余地が大きいことが明らかとなった。
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