(1)本年度は、研究課題にかかわり、第二次臨時行政改革調査会、数次の行政改革推進審議会等の答申に示された歳入構造にかかわる行政提言および対応する行政改革提言とそれらの実施状況との対比を通して、80年代以降の受益者負担的歳入構造の分析に力点をおいた作業を行った。研究目的にも記載したように、この受益者負担的歳入の範疇には、その機能や負担の法的実体から、消費税および累進性が緩和されたり累進制が意味をもたない直接税収入も分析対象とした。 研究方法としては、各種受益者負担の伝統的な区分や種類(手数料、使用料、料金等)に加えて、いわゆる公企業や民営化企業の提供する財・サービスの料金負担も視野に入れた総合的な負担の実態に着目した。負担と受益の双方の「関係」に着目した法的性格を明らかにして、市場原理と非市場原理の混在の実像の把握に努めた。諸データーはパソコンを使用して処理し、OCR読取による文字情報化による利用可能な形態にした。また、関連する政府省庁(大蔵省、自治省等)や各種審議会(財政制度審議会、社会保障制度審議会等)での資料収集やヒアリングも実施し、必要な最近の資料(諸答申や統計資料等)も入手できた。 (3)なお、1996年7月4日〜5日にオランダのライデン大学で開催され、ゲスト・スピーカーとして招かれた国際シンポジウム『東アジアおよび東南アジアにおける租税制度』において、本研究の副産物(受益者負担をふくむ歳入構造分析)としての報告(「日本における租税法再編の諸相-より公平で公正な租税制度をめぐる正統性問題"The Restructuring Phases of Tax Law in Japan-an issue of legitimacy over more equitable and fairer system")を行った。
|