行政の意思形成過程と行政内部的機能について検討をしてきている。この場合、特に、規範的なアプローチを進めようとしてきているが、この様な視点から興味深い問題として、計画法がある。計画法は、かねてより検討対象として注目されており、例えば、計画策定手続における考慮事項など、意思形成過程上の重要な問題に関する検討が、指摘されてきている。同時に、この過程への住民の関与は、従来の外部法と内部法との分離や行政の責任乖離=住民の参加責任という問題としても、興味深い。 この小論では、ドイツの法理論を検討素材に、領域としては、道路建設計画を対象に、住民の関与をめぐる伝統的枠組と今日的な法理を紹介した。まず、Iでは、ドイツの住民の行政過程への関与形態を、関与の主体に対応して類型化していること、それぞれの関与形態のそれぞれの機能に関する議論を概観する。IIでは、特に、かつての連邦長距離道路法改正前の関与規定についての紹介を行う。そして、IIIでは、こうした行政過程への住民の関与を、特に、90年代に入って登場する道路計画促進法やアセスメント法制度の改変に即して認識する近似の理論、特に、Kooperationや、統合法理を簡単に紹介し、こうした見解が、今日、いかなる意味を有しうるのかということについての検討を課題とするものである。Kooperationは、行為規範論批判や行政組織論でも注目に値する見解の側面があるといえよう。
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