本研究は、定住化の時代を迎えた外国人労働者の権利保障を国際法の視点から検討するとともに、わが国の国内法上の問題点を分析することを目的としている。 まず、外国人労働者問題の基本的視点として、国際人権法における外国人の位置付けを検討する。とくに、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)上の少数者として位置付ける議論に照射を与え、その基本的視点から外国人の権利問題を考察すべきものと考えた。また、外国人労働者については、国連で移住労働者保護条約が採択されていることから、同条約の内容を詳しく検討している。とくに同条約では、正規の移住労働者だけでなく、不正規(不法)な外国人労働者の人権をも一定の範囲内で保障しようとしている点が重要である。たとえば、緊急医療、労災保障、子の養育などについては人道的側面から最低限の権利としてその保護が要請されている点にかんがみて、わが国の法制を検討する必要がある。 さらには、外国人の刑事手続きとの外国人被収容者の人権保障という側面も近年、問題となっているので、この点についても検討を加えた。 また、周辺アジア諸国と日本との国際関係において考察を加えることが、外国人労働者問題を考えるヒントとともなるので、この点についても論じている。
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