アメリカでは21世紀の伝統的家族は継親家族であると言われ、3人に1人の子が18歳になるまでに継子になろうとの予測のもとに、すでに継親家族が直面するであろう家族法上の諸問題に対し検討を始め、あるいはすでに継親家族を射程に入れた立法化が進行していることを、前々稿(「アメリカにおける継親子関係をめぐる法状況」アルテス・リベラレス[岩手大学人文社会科学部紀要]第57号135-153頁[1995年])および前稿(「アメリカ無遺言相続法における継子の地位」白鴎法学第8号339-367頁[1997年])において明らかにした。わが国においても、アメリカ同様、近年、未成年子をかかえる夫婦の離婚数の増加と再婚件数の漸増により継親家族が増加しており、今後、継親家族をめぐる法規制のあり方が問われることになろう。その足掛かりとして、今回、継親子の法的関係について、従来あまり言及されることのなかった、監護権、面接交渉権、扶養、相続権に焦点をあてて、わが国の継親子関係の現段階を明らかにし、現行法の問題点を指摘した。 わが国の継親家族に対する現行法規制は、離婚を容認し継親家族を含めた再婚家族の存在を予想しながら、さながら離婚後の単親家族同様、継親家族においては親権者でありかつ監護者であるのは実親一人であり、また将来親権者・監護者に代わりうる地位を継親家族以外のもう一人の実親に保障し、継親家族の内外を問わず、あくまで第一次的養育責任者である実親の責任を強調し、その権利を保障していこうとするものであり、学説も基本的にこの方向にある。今後予想される継親家族の増加と社会的実態としての扶養・監護養育関係を前提とする限り、継親子関係の社会的実態につき経験的・実証的研究が求められるとともに、早期に法整備をする必要がある。
|