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1997 年度 実績報告書

投資者の意思決定の合理性の限界の観点から見た投資勧誘規制の検討

研究課題

研究課題/領域番号 08620032
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

川濱 昇  京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60204749)

キーワード適合性原則 / 説明義務 / デリバティブ / フレーミング
研究概要

証券ブローカーの機能は投資者に投資判断の動機付けを行うことにある。この機能は例えば米国の機関投資家のような高度の洗練と自己責任の文化がある場合であっても重要な役割を果たしている。専門家としてのブローカーは非対称な専門的知識に基づいてかような勧誘を行うのであるが、その際重要なのは顧客のブローカーに対する信頼の醸成である。これなしに非対称情報下の市場は機能しにくい。ところで、投資者の意思決定の合理性の限界を示す要因として、損失判断時のフレーミング効果、リスクの過小評価、顕著者のある事象の過大評価などが挙げられるが、これらは一方当事者が他方当事者に対して信頼が醸成されている場合に生じやすいことが確認されている。この問題は一般投資家のみならずかなり洗練された者についても妥当すると考えられる。いわゆるデリバティブの勧誘に関して、米国では大産業企業に対しても不適合な投資勧誘がなされたとして法的紛争が生じており、勧誘の不当さが確認されている事件が存在している。かような洗練された投資者については適合性原則や説明義務違反が問題となることはないという通念があるようだが、不当勧誘が問題となった事案では信頼関係が醸成された後、投資対象のリスク把握が歪められた形で投資決定がなされていたような状況が伺われる。これは、先の結論と整合的であり、場合によっては洗練された投資者であっても投資決定がシステマディックにブローカーによって歪曲される可能性に対して法的に対処されるものと考えられる。ただし、かような者に対しては、投資不適当という意味での適合性原則は妥当せず、むしろポートフォリオ構成を適切にするようなリスク把握を再構築させるような形でのリスク告知義務が妥当であるという結論を得た。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 川濱昇: "証券取引法に関する最近の判例の動向-断定的判断の提供による投資勧誘(1)" インベストメント. 50巻4号. 28-53 (1997)

  • [文献書誌] 川濱昇: "証券取引法に関する最近の判例の動向-断定的判断の提供による投資勧誘(2)" インベストメント. 50巻5号. 93-101 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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