本研究は、老人福祉施設における民間委託の実態と認可・無認可保育所の実態を調査し、そこにおける福祉労働の多様化の実態を調査し、いかなる法的な紛争が起きているか、また起きる可能性があるかを調査することにより、福祉施設、福祉労働者、福祉サービスの受益者相互の法的関係を雇用就労形態ごとに明らかにすることを目的とする研究であるが、交付期間に次のことを行った。 1実態調査・・・老人福祉施設及び民間保育所について、地方自治体の委託の法的根拠を調べるとともに、そこにおける労働の実態を、多様な雇用・就労形態について、調査した。 2資料・文献の収集・・・研究代表者及び各研究分担者がそれぞれの担当する老人福祉施設及び民間保育所の労働関係に関する判例、文献・資料を収集した。 3資料整理・・・収集した資料を、研究代表者及び各研究分担者がそれぞれデータベースとして整理する準備を進めている。 4資料の分析・検討・・・整理された資料をもとに、研究分担者と研究代表者が会い、それぞれの形態について法学的分析・検討を行った。 この結果、社会福祉法人を認可して福祉サービスを委託する場合も、無認可保育所を認可して保育業務を委託する場合、社会福祉事業団の設立を認可して福祉施設の運営を委託する場合、ホームヘルパー派遣事業のような個々の福祉サービスを社会福祉協議会や特別養護老人ホームなどに委託する場合では、それぞれ法律関係が異なりうることが明らかになった。これらの法律関係をもとに、さらにそこで働く福祉労働者と、福祉サービスの利用者をも含めた法律関係の解明に着手している。
|