我が国では、犯罪現象と人権意識の変化にもかかわらず、「自白をとるが、とられないか」という次元での争いが、捜査から公判そして学界における主たる関心になっている。刑事手続における「55年体制」的思考である。本研究は、刑事手続のかがる運用と理論を克服し、新たな犯罪情勢に対応する捜査権限のあり方、起訴の基準、公判手続のありがた、有罪・無罪の認定基準、そして、これらに対応した被疑者・被告人の防御権の充実を模索することを目的として行った。そこで、「自白中心捜査」を克服するために、いがなる捜査権限が必要か、他方で、いがなる人権保障手続が必要が、検討を試みた。 (1)特別公務員暴行陵虐致死事件の一件記録に基づいて、捜査段階から参考人、被疑者の取調べの中で供述、自白が生成していく過程を検討し、証拠構造の中での自白の重みを検討した。(2)逆送少年事件の一件記録に基づいて、捜査段階で有罪方向へ供述が固まっていくプロセスを検討し、事実認定における自白の役割を検肘した。(3)外国人事件の裁判傍聴などを通じて、オーバースティなどの簡単な事件における自白の果たす役割を検討した。(4)各事件を通じて、状況証拠での事実認定の可否と問題点を検肘した。(3)一般刑事事件の傍聴を通じて、自白や供述が事実認定上しめる重みの検討を行った。
|