平成9年度の研究は3つの部分に分けることができる。 第一に前年度から開始した基礎的なレベルでの利益集団および社会集団一般のデータ収集を進め、日本データに続いて韓国データを収集した。 このデータは、日韓の首都および隣接地域を対象として電話帳(組合・団体の項)を母集団に、ランダムサンプリングによって、約4000サンプルを摘出し郵送調査を行い、日本では1638サンプル、韓国497サンプルの返送を得た。これらは代表性の高い団体データであることがわかっており、今後の体制分析に極めて重要である。 第二に日本データを多面的に分析し、存立様式、行動様式、活動空間分析を行い、それぞれ小論を執筆した。存立様式では、広く世界の利益集団分析の中で、本調査を位置づけ、企業と政府をのぞく利益集団分析にいかに本調査が寄与するかを論じ、具体的に団体の属性分析からいくつかの既存仮説の検討を行った。同様に行動様式分析を行った。空間分析では、団体の行動空間別にいかなる特性があるかという新しい政治分析の視角を切り開いた。 第三に、韓国での事業所統計(1996年版)など、基礎的な社会事業体データを入手し、この研究調査での、サーベイデータと連関させて分析を開始した。 以上のデータを下に、日本および韓国の1980年代以降の政治体制の位置づけ、変化について、新しい視角を提供するいくつかの論文を現在執筆中である。
|