今年度は、まず第1に、現代日本の政治家に対して行ってきたこれまでのアンケート調査(郵送法)の整理に着手した。それは、(1)1995年参議院議員通常選挙当選者全員を対象にして、選挙後、実施したもの、(2)1995年に全衆議院議員を対象にして実施したもの、(3)1996年3月から4月にかけて福岡県議会議員全員を対象にして実施したもの、である。現在、これらのデータの総合的な分析を始めつつあるが、例えば国会議員と地方議員の選挙運動等の捉え方に違いが感じられる。分析結果は次年度に公表したい。 第2に、1996年10月の衆議院議員総選挙で当選した全議員を対象にして、以上のアンケートと連続性を持たせた質問文によるアンケート調査を実施した。調査票は、1997年月に郵送し、3月末日を締め切りにしている。現在、徐々に回答が返送されてきており、いまだ整理できる段階にはないが、しかしざっと目を通したかぎり、従来言われてきた保革イデオロギーの消滅という議論は、政治家レベルでは、必ずしも妥当しないのではないかと推測される。また今日のさまざまな政治的争点に対する政治家の態度は、所属党派によって異なっているように思われる。今回の総選挙で再選を果たした議員については、1995年の調査と今回の調査の両方に回答してくれていれば、サンプル数は十分ではないものの、所属党派の変化と政治意識の変化との相関関係について貴重な比較ができる。さらに中央・地方議員の系列関係や選挙制度のあり方についても、党派によって興味深い違いが出てきそうである。以上の点については、次年度、実際に深く分析することにしたい。 なお、本年度、関連研究として、蒲島郁夫・筑波大学教授との共著『現代日本人のイデオロギー』(東京大学出版会)を公刊した。
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