地球環境問題への関心の高まりは、産業社会をエコロジー的視点から再構築することの必要性を明らかにした。統合的環境政策は、この産業社会の再構築のためのものである。統合的環境政策は、各政策領域において環境適合的という政策要素を統合し、多次元レベルで政策を展開するものであり、さらにその政策の担い手の多様性という特徴をもっている。本調査は、日独比較の観点から、この統合的環境政策の基本構図、政策手段、担い手の多様性について、調査・分析を行なっている。 基本構図については、まずヨーロッパ連合・ドイツにおいては、EU・連邦・州及び自治体の各レベルで環境政策が展開されており、補完性の原理に基づき、より低いレベルにおいてより厳しい措置をとることが認められている。EUの第五次環境行動プログラムは、各国の環境政策にも影響を及ぼしている。日本においては、国・都道府県・自治体各レベルの環境基本計画が一部で開始され、さらに、個別的ではあるが、アジアとの環境協力の試みも始まっている。 実態調査としては、(1)国レベルの環境基本計画の策定・実施過程、環境アセスメント法案などの策定の動き、(2)東京都と都下自治体、大阪府と大阪市などを事例にして環境基本条例の制定・実施過程に焦点をあてて、比較調査を実施している。特に、環境基本計画の作成主体・実施主体、実施のための各部局の調整体制、市民参加の問題について、調査・分析を実施している。
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