本研究は、ヨーロッパ連合及びドイツの統合的環境政策との比較の視点から、日本の環境政策の現状を調査・分析することを目的としている。調査・分析においては、特に市町村自治体のレベルに焦点を当てている。統合的環境政策は、経済政策や社会政策における環境適合性、多次元レベルの政策展開、政策の担い手の多様性を特徴とし、その目標はエコロジー視点から産業社会を再構築することである。 EU・ドイツの統合的環境政策については、1998年10月に成立したシュレーダー赤緑連立政権(社会民主党と90年同盟・緑の党の連立)の環境政策について調査を行った。この主要な点として、脱原子力を目指す持続可能なエネルギー政策、環境税の導入が挙げられる。このような連邦レベルでの政策の転換は、州・自治体レベルでの環境政策にも大きな影響を与える。 日本の環境政策については、第1に、引き続き都県と市レベルでの実態を調査した。特に、神奈川県と川崎市、東京都と多摩地域の市町村における環境政策の統合化(環境企画、市民参加など)、自然環境保全政策(緑と公園など)、ゴミ減量・リサイクル政策、さらに自治体における環境管理の国際規格ISO14001認証取得の動き、などについて調査・分析を行った。第2に、多摩地域における環境団体・市民グループのネットワーク化、ISO取得に関連して経済団体や労働組合の環境問題への取り組みについて調査を行った。
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