本研究は、「経済情報システム」の建設に際して生ずる下記の3経済問題を、経済理論の立場からモデル構築および数値例作成によって分析することを目的とした。 (i)個別企業の情報開示・利用のインセンティブ (ii)経済情報の収集・提供主体の行動 (iii)経済情報の収集・提供のための制度 本研究は「情報の開示・収集・加工・提供・利用をめぐる経済主体の行動」という新しい主題を取り扱うため、厳密なモデル作成に留意した。 他方、モデル分析自体は困難であったため、コンピュータの数値例シミュレーションによることとした。なお、分析資料を入手するため、一部現状調査をおこなった。 (i)企業内情報管理の調査 個別企業が保有する企業内情報の保有・管理の実態を調査した。 (ii)EDI/CALSの現状の調査 電子取引情報のサンプリングにかかわる情報コスト等を明らかにするため、EDI/CALSの現状を調査した。サービス業と製造業について、企業間取引(仕入のための引合、見積、発注、納品、代価請求、支払)における情報の伝達形式・方法とそのための費用の概略を調査した。 (iii)個別企業の情報開示・利用のインセンティブ 個別企業のモデルを作成し、企業内情報の開示・提供と企業環境に関する情報の入手・利用に関する企業行動を考察した。 (iv)経済情報の収集・提供主体の行動 個別企業から情報を収集し、これを処理・加工し経済統計データとして提供する経済主体の行動を、モデル構築と数値例分析によって考察した。
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