研究概要 |
本研究の目的は、日本に於ける人口の高齢化と医療費の高騰に着目し、高齢者医療、特に公的介護と施設介護、について実証分析を行い、どのような医療政策が望ましいか考察することである。今回は、その研究の一部である(論文タイトル)「Determinants of Community-based Home Care and Nursing Home Care,and their Negative Relationship : A Case of Japan」について報告する。 上記の研究では、1990年に年金総合研究センターによって行われた、高年者生活実体総合調査をもとに、公的在宅介護、家族による在宅介護、及び施設ケアの選択における決定要因を検証し、施設介護(老人保健施設、養護老人ホーム)と地域主体での在宅介護(デイサービスや短期滞在施設等)との関係を明らかにしている。 実証分析から、より低コストの地域主体の公的介護は、施設ケアと代替関係であるという結果が得られた。また、医療目的の在宅ケア・サービスや非医療目的の在宅ケアも、施設ケアとは負の関係にあることが示された。これらのことから、公的在宅介護サービスは老人ホーム等でなされているサービスの一部を代替できると言える。また、家族による介護が、施設ケアとは負の関係に、公的在宅介護とは正の関係にあることから、地域主体の介護サービスに、家族介護を組み入れることができる。高齢者医療費が今後どのようになるかは、新介護保険制度にかかっている。
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