研究概要 |
平成8年は初年度に当たるため資料の読解と整理に努めたが、その過程で著わした業績の概要について以下述べる。自由主義思想を経済学において強く主張するのは新古典派だが、それが自由主義の思想史において正統の位置を得るかというと、疑義がある。「経済学入門」(3人の共著・私は原稿用紙 400×130枚を執筆。共著者が現在重態であるため出版延期)のうち経済思想史の章では、それが社会主義に近似するものであること、それから脱した自由主義の経済学が構成されねばならないことを説く。「中国経済の市場化」においては、「市場化の経済思想」の章で、市場化の論理として世界銀行などのよって立つ新古典派以外にパーソニアン,ル-マン,ハイシクの諸説がありうることを示した。「マルチメディア……」では、デジタル化によって新古典派の原理論が実現するという理屈が成立しないことを示した。
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