公共料金の多くは総括原価方式で算定されているため、従来は料金体系に関する研究が多かった。そのため、公共料金と家計消費の関連が問題にされることは少なかった。そして、公共料金であるが故に価格弾力性も問題にされなかった。しかし、日本社会の成熟化と共に、多くの公共サービスが選択性の要素を持つようになり、部分的に価格弾力性が問題にされるようになってきた。 本研究では公共料金の問題を「家計消費」の実態調査データを収集し、各種のカテゴリー別に経年的に比較することにより分析している。特に、公共料金の内、電気料金、上下水道料金、ガス料金、交通料金、電気通信費、郵便代に絞って支出弾力性を検討し、アメリカとイギリスの支出弾力性値と比較している。 電気料金と家族属性の関係を把握するために、全国の191世帯に対して詳しいアンケート調査がなされた。それらのデータ分析を(1)家族構成、(2)在宅時間、(3)住居構造、(4)所得、(5)所有する電気器具等の要因でなされた。 公平性の観点から、現行の料金が評価された。更に、選択的料金制度の可能性を公平性向上の視点から評価された。
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