(1) 1994年に、フィリピンにおける直接投資は、外国直接投資、フィリピン人による投資が共に対前年比で4〜5倍の伸びを示した。その後の95年、96年の投資の状況をBOIとPEZAの資料でみると、フィリピンへの外国直接投資の総量は、94年をピークに減少傾向を示している。しかし、エレクトロニクス、自動車等、機械産業への投資は堅調であり、そのサポ-ティング産業分野への日本の中小企業の進出が急増している。平成8年度の研究では、フィリピンに進出している、いくつかの日系のプラスティック成形メーカー、メタルプレス・部品メーカーにヒアリングする機会を持ち、フィリピンへの技術移転について、その可能性と解決すべき課題について考察した。ただ平成8年度に、アクセスできた日系企業の数は数社と少なく、平成9年度は、さらに多くの中小企業にフィリピンサイドからだけでなく、日本サイドからもアクセスする必要がある。 (2) フィリピンの外国貿易資料の検討を通して、AFTA以降のアセアン域内貿易の増加傾向を明らかにすると共に、その重要な牽引車はエレクトロニクス部品貿易であることを確認し、エレクトロニクス部品貿易の増加と、日系企業(大企業、中小企業共)との関連についての分析に着手した。この分析は平成9年度も引き続きおこない、この分析を踏まえて、フィリピンにおける比較優位技術についての考察へと進めていく必要がある。 (3) 本研究の理論的枠組みや分析方法を考察するための参考として、日本における中小企業研究、下請け関係の研究をサーベイした。さらに大企業と下請け企業、中小企業間の技術移転や技術供与関係の文献のサーベイも行った。
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