研究概要 |
今までの研究成果の集大成に向けて,取り敢えずの整理を行うために日本海運経済学会の『海運経済研究』第30号に「EC共通海運政策とEC競争法の10年」という論題で歴史的な整理をはかった。さらにEC委員会の政策目的に特に焦点を当てた研究として山縣記念財団の『海事交通研究』第45号に「EC海運政策と競争法-その政策目的」という論題での研究成果をまとめた。EC(EU)共通海運政策はEC委員会の第4総局(運輸部門)と第7総局(競争部門)によって主として取り扱われているが,その政策はその他の国際的な部局からの影響を大きく受けている。すなわち現在討議がすすめられている米国の1984年の海運法の改正法案(US OCEAN SHIPPING REFORM ACT OF 1997(S.414)やOECD(MARITIME TRANSPORT COMMITEE)の動向,OECD(具体的にはWORKSHOP ON MARITIME TRANSPORT POLICES AND PRACTIES)やWTOのサービス貿易の分野からの政策がそれであり,本年度の研究もそれらの資料の収集と検討が大きな課題であった。 さらにEU共通海運政策はEU共通運輸政策,EU共通航空政策とのかかわりも大きくこれらの観点からの検討も同時に行った。具体的な今後の研究計画については直接ロンドンを訪問しロンドン・ギルドホール大学教授,国際運輸経営研究所所長のジェイムズ・マコンビル教授から詳細な指導を受けた。合わせて同研究所研究員のデイビッド・グレンおよび会計財政サービス学部のシニア・レクチャラ-のヘザ-・レガットからも助言を頂き,今後上述の研究論文作成に対する支援の約束を得た。さらに上述の研究に対する具体的な問題について欧州自由貿易連合(EFTA)のサービスおよび資本移動担当官Kjeteil DjOnne氏と日本船主協会欧州地区事務局長赤塚宏一氏と共に上述の論題について意見の交換を行った。
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