本研究では円高期にあたる1985年から1995年にかけての日本の輸出入価格指数と国内卸売価格指数の本離をみることによって、内外価格差の縮少(又は拡大)を品目別に分析した。佐々波・木村・河井共著“Sectoral Price Movements under the Yen Appreciation" Journal of the Japanese and International EconomicsII(1997)での主要な研究結果は以下の通りである。 1. 1995年以降多くの名目で内外価格差の拡大がみられた。 2. 数多くの品目の輸入価格低落率は円レートの上昇率よりも小さく為替レート変動のパススルー効果が小さいことを示す。 3. 2の輸入価格パススルー効果を阻害する要因として国内でのレントの発生が考えられる。 4. 輸出価格パススルー効果については海外生産比率の高い品目について小さい。 1から4をふまえた1998年度の円安期についての分析はまだ充分に行われたとはいえないが、国内価格への為替レート変動のパススルー効果は円安期にもあまり顕著ではない。
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