最終年度である平成10年度は、8年度および9年度の研究成果を踏まえて、以下の3点について研究を進めた。 1)日本企業の活動が国際化していく際の企業の価格行動の分析 2)内外価格差の要因の国際比較を行うのに必要な国際価格比較データ(ICPデータ)を用いたデータベースの構築および解析 3)内外価格差を生み出す制度的・政治経済学的要因の分析 1)については、まず、通産省の対外進出企業に関する個票データベースの構築という膨大な作業が必要であり、ようやく企業内貿易データを接続する段階まで作業が完了した。今後、貿易価格データとの統合的分析という難しい課題が残っているが、中間報告をまとめる予定である。 2)については、やはり新たなデータ・マッチングとクリーニングという作業に多くの時間を費やしたが、ここまでの成果は、"The Measurement of Tariff Equivalents of Non tariff Barriers by Using ICP Data: Preliminary Results"としてまとめ、現在刊行準備中である。 3)については、デフレ経済の中で一時的に関心が薄らいでいる内外価格差問題ではあるが、本質的に問題が解決していない分野も多々存在するので今後も研究を進め、論文の形にまとめていく予定である。
|