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1997 年度 実績報告書

覇権後の国際通貨体制の安定化

研究課題

研究課題/領域番号 08630061
研究種目

基盤研究(C)

研究機関立命館大学

研究代表者

石黒 馨  立命館大学, 経済学部, 助教授 (20184509)

キーワード国際通貨 / 通貨権力 / 覇権システム
研究概要

本年度は、覇権国と非覇権国の通貨権力と情報の非対称性という点から覇権協調の戦略的国際通貨理論を構成し、覇権国の対外通貨政策の信頼性について検討した。その主要な結論は以下のように要約される。
完備情報下のゲームの均衡は、覇権国の対外通貨政策の信頼性についての先験的な仮定に依存する。覇権国の対外通貨政策に信頼性がある場合には、公表した対外通貨政策に覇権国がコミットし、それを実施すれば、覇権国が先手をとるスタッケルバーグ解となる。しかし、覇権国の対外通貨政策を非覇権国が信頼しても、公表した対外通貨政策にコミットせず、それとは異なる政策を覇権国が実施する場合があり、このような場合には、チ-ティング解となる。また覇権国の対外通貨政策に信頼性がない場合には、ゲームの均衡はナッシュ均衡となる。
不完備情報下における覇権国の対外通貨政策の信頼性は、外向きの覇権国と内向きの覇権国の為替レートの政策目標の相違や覇権国の政策選好および覇権国の国際通貨の減価偏向に依存する。覇権確立期のように、覇権国の為替レートの政策目標の相違が十分に大きい場合には、覇権国の対外通貨政策は十分に信頼性をもつ。覇権国は対外通貨政策にコミットし、非覇権国はそれを信頼して為替レートを予想する。
覇権形成期や覇権動揺期のように、覇権国の為替レートの政策目標の相違が十分に小さい場合には、覇権国の対外通貨政策は非覇権国に信頼されない。覇権国が公表する対外通貨政策に関わらず、同じ為替レートを非覇権国は予想する。非覇権国は、外向きの覇権国の場合には国際通貨の過大な減価を予想し、内向きの覇権国の場合にはその過小な減価を予想する。このとき、国際通貨の変動は、外向きの覇権国の場合には完備情報下のナッシュ均衡解より大きくなるが、内向きの覇権国の場合にはそれより小さくなる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 石黒 馨: "覇権協調の戦略的国際通貨理論" レヴァイアサン. 20. 173-196 (1997)

  • [文献書誌] 石黒 馨: "パックスアメリカ-ナの国際政治経済学" 立命館国際地域研究. 11. 141-171 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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