戦間期ドイツ電機工業における広義の流れ作業の実態を今年度まで入手資料に即して分析した結果、やはり研究史回顧での研究代表者による批判的整理の結論に対応して、ワイマ-ル期に簡易搬送手段利用型、流れ作業・ベルト作業混成型、工程群分割・バッファ組込み型、複数品種混合生産型、稼働中品種・工程迅速切換型、放射状加工・搬送系列型、異種アタッチメント交換型等の、基本的に規模の経済性追求型「ベルト作業」から物理的強制進行性を伴わぬ非設備投資集約型「ドイツ的流れ作業」までの広範囲で多様な類型が導入された中で、後者が基調となっていたが、ナチス期には前者への発展傾向が強まる一方「ドイツ的流れ作業」の発展もなお看取されたこと、戦間期から第二次大戦戦後にかけては「ベルト作業」の主たる担い手が、従来の電機工業の発展と主導してきた投資財基軸の総合企業から耐久消費財の専門メーカーに移行したという点での断絶面とともに、広義の流れ作業の多様な類型による発展が、マーシャルプランの時期を含めて戦後期にも見られるという意味での連続性が確認されうること、等が明らかとなった。 なお、前年度以来の研究史回顧に関しては、当面Wittkeの独創的博士論文の書評を経営史学に投稿したが、回顧の全体については、この間の新研究の整理を加えて来年度に土地制度史学に掲載することとした。また来年度に文部省長期在外研究員として渡米・渡独することになったこと、これに伴い来年度科研費の辞退手続きをとることになったこと、により今年度末に研究手順の練り直しが必要となったため、今年度の研究についても、内容上はほぼ仕上がっているいるが…その成果は平成10年2月に現代ドイツ企業研究会で発表予定であったが、当該研究会が諸般の事情で中止となったため、発表するに至っていない…、これを、来年度に米独で入手する流れ作業関連比較史資料とつきあわせた上でより充実した内容の論文として発表することとした。
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