1、戦後に発行された実務書や実務論文、および労務管理についての大学教科書の記述を検討した。その結果、実務書や実務論文には戦後ほぼ一貫して多数が刊行されているのに対し、大学教科書で査定制度が章なり節なりで明白に取りあげられることは、90年代になるまで少ないという、面白い現象を発見した。研究史の整理がかなり進展した。 2、米国、イギリス、ドイツにおける査定制度を知るための資料を収集した。ドイツではおそらく第二次世界大戦セールスマン前から実施されていること、ドイツもイギリスも、査定制度において労働組合が強力な規制を加えていることが明らかになった。 3、中国、韓国、インド、シンガポールにおける制度の資料を入手した。上記2とあわせて、査定制度を国際的な視野から再検討する必要性を痛感した。 4、H造船における1950年の制度導入時の諸資料の検討を進めた。これに関連して、弥富賢之『人事評価』記載の同時期の導入時例(ホンダ技研?)が大いに参考になった。 5、50年代末の勤務評定(反対闘争)についての検討をすすめた。これについては、長谷川廣『現代労務管理制度論』記載の論考が大いに参考になった。 6、上記を総合して、これまでの私の研究を再検討する作業を進め、研究所公刊の準備を進めた。
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