平成9年度の研究では、金融機関のなかでも生保会社に注目し、分析を進めた。いままでは銀行を対象にしながら、含み益を求め、それが銀行株に反映されていることを見い出してきた。本年度は生保会社の含み益を求め、それが生保経営にいかなる影響を与えているかをみた。 生保会社は相互会社であるため、経営の内容を要約した株価がないため、いままでのような銀行を対象とした株価分析は不可能である。そこで、生保契約高と解約・失効に注目し、分析を試みた。それは含み益と契約高および解約・失効の関係をみるものである。生保上位16社を対象に両者の関係をみると、含み益の低い生保会社ほど契約高の伸びは低く、しかも解約・失効も高いことが明らかにされた。 前年度では含み益の薄い銀行ほど株価の伸びは低いことが見い出されたが、生保会社の場合はそのことが契約高や解約・失効に表われていることが示されたと言える。
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