市場ポートフォリオのようなベンチマークと同程度のリスクと収益を与え、かつ、構成銘柄数がそれよりもはるかに少ないインデックス・ファンドの構成法を従来研究されているのとは異なった基準(トラッキングエラー)である最小2乗誤差を採用し、数学的分析を加えた結果、以下の研究成果を得た。その成果は2編の論文としてまとめ、その1編は公刊され、残る1編は雑誌に採択されて印刷中である。 (1)本研究で新たに得られた成果 ベンチマークの収益率と2乗誤差の期待値を最小にするインデックス・ファアンドの諸性質について考察し、両者の間の相関係数について新たな知見を得た。すなわち、ベンチマークが効率的フロンティア上にない場合、基準を最小にするフロンティア上のポートフォリオとの間の相関係数が最大になることを導いた。さらに、ベンチマーク・ポートフォリオが効率的フロンティア曲線上にあるか否か応じて、基準を最小にするインデックス・ファンドの期待収益率間の大小関係を導出した。以上の結果は伝統的な基準のもとで得られた諸結果とも類似していることを確かめた。 (2)今後の研究 今までに得られた結果では既存の論文と同様に求めるべきインデックス・ファンドのユニバースに含まれる銘柄は既知であると仮定したが、実務的にはそれらを求めることが重要な問題である。そのための効率的なアルゴリズムの開発は極めて難解であろうが、今年度の残された研究課題の1つである。
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