1995年1月17日の未明に発生した阪神・淡路大震災は兵庫県下の商業にも大きな被害をもたらした。今回、科学研究費の補助を得て私たちが行おうとした研究の目的は、この兵庫県下商業の震災による被害の実態を明らかにするとともに、県下商業の再生の方向を探ることであった。まず、昨春、県下の商業の中でも最も地域に密着し分散的に立地している薬局・薬店に対して被災と再生のアンケート調査を実施した。(1)フェースシート、(2)営業状態、(3)震災と経営、(4)経営の問題点、(5)経営の環境、(6)今後の重要問題について、計50問の詳細な調査票を1447店の薬局・薬店(全体の65%に当たる)に送付し、624店(43%)からの回答を見た。このうち無効票を除く616店分について集計と分析を行った。その後、この成果を踏まえて、関連する二次資料の収集や文献研究、若干の予備調査を行いながら、今春(2月20日)、より大規模な調査を行った。すなわち、県下の小売商業の中で大きな部分に占める商店街(743商店街)と小売市場(248小売市場)に対して、いっそう詳細な内容でのアンケート調査(計84問、約300項目)を実施した。本日(2月28日現在)で152の商店街(20.5%)と62の小売市場(25.0%)からの回答を得ている。今月末までに全データの入力と簡単な集計・分析を行う予定である。その後、次年度に入って、これら二回の調査結果とこの間私たちが収集した震災関連の諸資料、及び、県下商業に関わる諸資料、さらには専門の諸文献を基に、今回の研究課題の名にふさわしい内容の『報告書』を刊行していく予定である。また、一定の理論的な考察も行い論文としてとりまとめる予定である。
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