研究概要 |
1,本年度実施した調査・研究項目は以下の通りである。 (1)アメリカ経済の回復、企業活性化の実態とマクロ的要因(2)アメリカ製造業とその労使関係の変容 2,採用された調査・研究方法は下記の通りである。 (1)アメリカ労働に関する日刊紙“Daily Labor Report"による情報収集と分析(2)アメリカのコ-ニング社、デンソ-・テネシー社、エプソン・アメリカ社での現地調査とコ-ネル大学における資料・情報収集、意見交換《1996年8月〜9月》(3)日本のセイコ-エプソン社、デンソ-社、ソニー等での現地調査と、国内大学・研究機関での資料・情報収集・意見交換《1996年8月〜1997年3月》 3,上記を通じ、研究課題に関し、現時点において下記の知見が得られた。 (1)顕著なアメリカ経済・企業の回復は、とくに情報関連産業によってリ-ドされているが、業種間、企業間に大きなバラツキがみられる。すべてのアメリカ企業の復調による、経済回復ではない。(2)アメリカ社会には、多くのレイオフや、一層の賃金の2極分化がみとめられる。経営側からも、“Restructuring is over"との声が聞かれ、ダウンサイジングの成果に疑問をいだく意見も出始めている。(3)製造職場とその労使関係の変容ポイントは、Skill Formation, Communication, Conflict Resolution である。アメリカの職場はこの3点において、必ずしも日本と同じ方法を採用しておらず、日本の方法を作り替えながら導入しているといえる。(4)アメリカからの日本への示唆のひとつは、「職種・残業など職場における個人の選択の拡大」である。
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