研究概要 |
今年度の研究の重点を、(1)史料の収集整理、(2)より広範な先行・関連研究の調査と理論仮説整備においた。 (1)の史料収集に関しては、以下のような課題を遂行した。 (1)アメリカ各地に所在するGeneral Electric関係の資料館、図書館の所蔵する資料内容の確認と収集を行った。収集した主な資料は、(Gerard Swope Papers(The Hall of History,GE's Schenectady Works),UE Arichives (Pittsburgh Univeristy),O.D.Young Papers (St.Lawrence University)などである。 (2)史料の整理:コンピュータへの入力とデータベース化 (1)の資料を中心にデータ入力と整理、データベース化を行った。現在、このデータをこれまでの予備作業で構築されたデータベースに統合する準備を行っている。 (2)の先行研究の調査と理論仮説の整備については、次のよう課題を中心に取り組んだ。 (1)1910年代後半から1930年代にかけての従業員代表制についての同時代の観察者の分析・評価の見直し:当時の有力な経営者団体(NICB、NAM、AMA)、労働組合(AFL)による調査や声明、そして有力な労使関係研究者の業績を見直し「参加・コミュニケーション型従業員代表制」の輪郭より鮮明にするとともに、General Electric社の従業員代表制(Works Council)の位置を確定した。 (2)現在アメリカで進行している労使関係システムの再検討の議論の中での従業員代表制に関する研究のサ-ヴェイを行う:主として労働組合に依存しない従業員参加・集団的労使関係の可能性と限界に関する議論を検討し、本研究の理論仮説と分析枠組みの改善に取り組んだ。この取り組の一端は、「「参加・コミュニケーション型従業員代表制」の系譜と労使関係ネットワーク」という論文に取りまとめた(経営史学会誌『経営史学』に掲載予定)。
|