1980年代半ば以降、この10年間の間に世界的に共同研究開発に対する関心が高まり始めている。日本における超LSI研究組合やOEICの成功に刺激され、1984年には米国で「全米共同研究開発法」が成立し、以降現在までR&Dコンソーシアムの数は着実に増加しつつある。欧州についてもほぼ同じ時期から国境を越えたECレベルでの共同研究開発の取組みが見られる。また韓国でも独自の取組みが進んでいる。これら各国・各地域の共同研究開発の現状を前提にしながらも、基本的にみられる共同研究開発の共通した特徴やロジックを引き出しながら共同研究開発の組織論あるいは組織間関係論を考えるというのが研究の趣旨であった。 日米韓の共同研究開発のについてコンソーシアム・レベルでのデータと参加組織レベルでのデータを収集・分析することで、日米韓の共同研究開発マネジメントの異同がある程度明らかになった。さらに日米韓の代表的ケースを分析することでマネジメントのダイナミックな変化についても明らかになった。このような知見をもとに、今後は対象を研究開発から環境責任に移行し、環境コンソーシアム(たとえばCERES)の生成や発展過程、マネジメントの動態的変化、参加組織のコミットメントの変化などについて実証研究を試みる計画である。
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