本研究は、地球環境保全のために企業が主体的に行動することができるための意思決定モデルの構築を目的としている。地球環境保全については、一般に国家ないし自治体レベルでの行動を対象とする考え方が多いが、この研究ではこれとは立場を異にしている。すなわち、本研究では企業の行動原理である利潤追及と地球環境保全との方向性を一致させるための新たな考え方をまず提案した。これは企業が環境に対して配慮した商品が消費者に受け入れられることにより、企業自身のシェアも利潤も確保できるという考え方を基本としている。これは、従来のいわゆる環境ビジネスが特殊な領域に偏っていたものに対して、一般的な商品、業種にまで拡大したより広範に地球環境問題ををカバーできる考え方である。この考え方が実際に成り立ちうるかの前提として消費者の行動および意識の問題がある。そこで、本研究では消費者が企業の環境を考慮した商品の提供に対してどのような行動や意識を有しているかの調査研究を行った。これは400名の男女に対してアンケート票を留め置きで回収する方法で行った。その結果、消費者のカテゴリーによる差異はあるものの、他商品よりも環境を保全できるものに対して、消費への効用を実感していることが明らかとなり、環境保全が商品機能の一部を構成していることが示された。この結果に基づいて、消費者行動モデルを今回の成果の一部として構築している。
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