昨年度においては、企業の地球環境保全の関する評価を行なうための基礎として、主に消費者を対象とした調査をベースに企業行動を模写するモデルを作成した。 今年度はこれを発展させ、まず上場企業約1500社を対象とした各企業の地球環境保全に対する様々な活動をアンケート調査によって把握した。その結果、特に製造業と非製造業との間の取り組み姿勢、活動実績の差異の存在、また環境保全活動のための経営方針、組織、日常的業務活動、非日常的業務活動、ボランティア、環境ビジネスといった行動内容ごとにその取り組み状況について、大きな違いがあることも確認できた。さらに、この調査結果を基に、企業の環境保全活動レベルのランキングモデルを作成した。最終的には総合評価システムを構築したが、その過程においては各行動内容ごとのランキングも作成している。ランキングの結果としては、製造業、最終消費財関連企業が高い位置を占める傾向が見られ、企業の地球環境保全活動が、地球環境に対する企業行動の直接的影響の大きさ、ならびに企業と消費者との距離に関係して取り組まれていることが明らかとなった。 この調査研究を踏まえ、企業の地球環境保全への取り組みと利益確保との調和を図る企業モデルを作成した。このモデルは消費者の環境保全を考慮した商品選択の構造と、企業の地球環境保全に関わる技術レベルを盛り込んでおり、このモデルによって消費者に支持される地球環境保全を維持しながら企業の最大化を目指すことが可能であるという結果を示すことができた。
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