研究概要 |
1.ホップ代数のコサイクル変形の研究.群の2-コサイクルを一般化してホップ代数の2-コサイクルが定義される.これを用いて新しい積が定義でき,もとの余代数構造とあわせて新しいホップ代数が誕生する.これをホップ代数のコサイクル変形と呼ぶ.量子群で重要な役割を果たすDrinfeldの量子対もある種のコサイクル変形と捕らえられる.このコサイクル変形の一般論を整備するとともにいくつかの重要な具体例の計算で進展があった(竹内光弘氏との共同研究). 2.ホップ代数のフロベニウス性の研究.有限次元ホップ代数はフロベニウス代数という結果は1969年Larson-Sweedlerにより発見され,ホップ代数構造論のその後のめざましい発展の出発点となった.ところがその証明は技巧的で分かりにくいという印象を多くの人々に与えている.今回この問題にメスをいれ,自然で分かりやすい証明を得ることに成功した.しかもこの手法を進めて行くことで有限次元ホップ代数は部分ホップ代数上第2種フロベニウス拡大であるというSchneiderの定理(1992年)の単純な証明の発見に成功した.さらにこれらの成果をYetter-Drinfeld圏における有限次元ホップ代数のフロベニウス性に拡張していこうと考えている.
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