研究課題
よく知られているように、RがCohen-Macaulay環あるいは体上のアフィン環のとき、Rの各素イデアルPはheight(P)+dim(R/P)=dim(R)をみたす。また、この性質はL.J.Ratliffが研究した素イデアル鎖問題のcatenary性、H-conjecture等において、効果的に利用された。以前から研究対象としているヒルベルト環に関して、RがNoetherヒルベルト環で、Rの各素イデアルPがheight(P)+dim(R/P)=dim(R)をみたしているとき、R上1変数多項式環R「X]の素イデアルも同じ性質をもつことを示した。この命題でのRのネータ性を外した場合については、同様のことが成立するかどうかかなり複雑であり、反例をも含めて考察中である。また、環R上のLaurent多項式環R[X,X^<-1>]の任意の極大イデアルがRの極大イデアルにおちるためのRの条件をいくつか得た。そして、大学院生の論文指導では、グレブナ-基底理論の応用を扱った。高等学校における整式の剰余、整式の等式、三角関数の等式、三角形の形状等に関する多くの問題が数式処理ソフト「Mathematica」の関数'GroebnerBasis'を用いて解決できることがわかった。とくに、三角形ABCについての三角関数の基本関係式のみを入力するだけで、式tanA+tanB+tanC=tanAtanBtanCが得られたのは意外であった。研究分担者の安西氏は、Fourier変換よりなる関数環に元が属するための必要十分な条件についてのBeurlingの結果を多変数に拡張した論文を発表した。そして、内藤氏は楕円曲線の3等分点が生成する局所体についての口頭発表をし、その内容は数理解析研究所講究録に掲載されている。また、長谷川氏は日本数学教育学会誌に図形の面積判断に関する研究成果を載せている。
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