自由モノイド上の書換えシステムの完備性と様々な有限性について研究し、それと語の問題の可解性、および、良い完全代表系の存在との関連を調べた。 モノイドの語の問題が可解であることと、再帰的完全代表系をもつことは同値であるが、正規(さらに、文脈自由)な完全代表系をもっても、語の問題が必ずしも可解ではないことを、例を構成することにより示した。このことにより、語の可解性は必ずしも正規で完備な書換えシステムもたないことが示される。しかし、可解な語の問題をもつモノイドは、少なくとも文脈依存の完全代表系を与える表示が存在することを示した。これらの結果は、論文1に報告した。 書換え系の停止性問題について研究し、特に、1ルールの合流的システムの停止性は、左辺が自己オーバラップを持たないルールからなるシステムの場合に帰着されることを示した。この結果は論文2に報告した。書換え系の停止性は、ルールの適用される境目に注目し解析することが有効である。ある種の1ルールの合流的システムについて、この方法で停止性の条件を求めることができたので、結果の報告を準備中である。 Squierが導入した書換えシステムから作られるグラフのホモトピーの研究は進行中であり、特に、完備パス書換えシステムの導入により理論が整備される。こらはグラフのパスにたいする書換え手法であり、これを用いて、ホモトピーおよびホモロジーに計算が実行できることを確かめたので、近く報告する予定である。
|