有限表示された代数系の語の問題やその他の決定問題について、主として書換えシステムの手法で研究した。 有限表示モノイドの語の問題が可解であることと、言語理論的に良い性質をもつ完備書換えシステムを持つこととの関係についての結果(9年度実績報告書参照)は、すでに部分的に発表済みであるが、その詳細を論文2に発表した。可解な語の問題をもつモノイドの埋入問題(例えば、正規完備系をもつモノイドへの埋入)は今後の課題となる。 語の書換えステップから作られるグラフ(derivation graph)のホモトピー理論においても、書換え手法が有効であり、Homotopy reduction systemが強力な道具になることを、論文1で示した。特に、最初の関係がnonspecialのときは、left canonical reductionが完備であり、Homotopy groupの語の問題は可解である。さらに、完備なHomotopy reduction systemの存在から、ホモロジー有限性FP_4を示したが、ホモロジー加群とのさらに深い関係の究明は今後の課題である。 代数曲線の具体的構成についての研究では、種数g≧2の曲線族で、階数が大きいものを構成する手法を開発し、論文4に発表した。Neronの方法には限界があり、それを改良することにより、さらに高い階数の曲線族を構成することが可能であると考えられる。
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