研究概要 |
複素上半平面の点γに対し,j(γ),fa(γ)(a∈1/PZ^2/Z^2)をj不変量,フリッケ関数とする.体の拡大Q(j(γ),fa(γ)/Q(j(γ)))を研究することは,楕円曲線(C/(γ,1)Z^2の算術,等分問題において基本的である.この問題の2次元版を記述するのが当該研究の目的である.以下その成果について述べる. γを2次のジーゲル上半空間の点とし,γに付随するアーベル曲面,クンマー曲面を,A(γ),K(γ)で表す.A(γ)は種数2の超楕円曲線のヤコビ多様体となっていると仮定する.3個のリーマンテ-タ定数の商をja(γ)=θa0(2γ)/θ_<00>(2γ)(a=∈1/2Z^2/Z^2)とすると,クンマー曲面K(γ)はF(γ)=Q(j_a(γ))上定義される.K(γ)の″p等分点″の座標の比を添加して得られる体を F_p(γ)=Q(θ_<a0> |2(γ,1)h)/θ_<00>|2(γ,1)h);∈1/pZ^4/Z^4) とすると,次を得る. 定理pを奇数の正整数とする.そのとき 1.F_pはガロア拡大である. 2.γが一般の点のとき,ガロア拡大F_p/Fのガロア群は,次の群に同型である: (〕.SU.〔) この結果は1次元の場合の拡張となっている.γが一般でない場合にガロア群を決定することは興味深い問題である.とりわけF/Qが代数拡大のときは,虚数乗法論との関係からも重要である.
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