研究課題/領域番号 |
08640079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
砂田 利一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022741)
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研究分担者 |
黒木 玄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10234593)
長谷川 浩司 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30208483)
納谷 信 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70222180)
斉藤 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60004397)
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キーワード | エルゴード性 / スペクトラム / 量子エルゴード性 |
研究概要 |
1.古典統計力学におけるエルゴード性の概念を、量子力学において定式化する試みは、物理学のサイドでは完全にはなされていない。一方、数学では、量子力学的ハミルトニアンの高エネルギーにおける固有関数の漸近分布に関する結果を、量子エルゴード性の定義とする流儀がある(スニレルマン、ゼルディッチ、コラン・ド・ベルディエール)。しかし、エルゴード性を、時間平均が空間平均に等しいという形で理解するとき、この定義では満足できない。そこで、当研究では、量子エルゴード性の数学的定式化を目論み、高エネルギーにおける場合と、有限エネルギーにおける場合の両方で、それに成功した。その結果、対応する古典力学系のエルゴード性との密接な関連を見出すことに成功した。高エネルギーでは、擬微分作用素のシンボル解析、有限エネルギーでは半古典近似の理論を適用した。 2.ラプラシアンの離散近似として、グラフ上の差分作用素の研究を行い、特に重み付きグラフの概念を導入し、その上の解析学を研究した。重み付きグラフは、電気回路、可逆な乱歩、コミュニケイション・ネットワークなどの応用分野に関連し、離散的ラプラシアンの性質はそれぞれの応用に結びつく。無限グラフの場合は、離散群の理論や作用素環論などの純粋数学の分野に応用される。
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