研究課題
宮岡は、コンパクトリーマン面からの調和写像のモジュライの研究について次の結果を得た。調和写像の変形について、球面への調和写像において、その随伴族として得られる変形(局所変形)以外、例は余り知られていなかったが、大域変形の例として次のものを発見した。S^3内の平均曲率一定曲面のガラス写像はS^5への調和写像とみなせるが、この調和写像は大域的にS^2、への調和写像に変形できる。この変形はあらゆる種数のコンパクトリーマン面からの調和写像の変形例を与えていて、困難であった種数2以上の例を扱う上での第一歩となる。研究中の課題としては、調和写像の空間に作用するループ群の軌道空間を決定するという問題に対して、H.Wuが発見した不変量を調べている。特にE^3の平均曲率一定曲面のガウス写像に関して、曲面のumbilic point毎に無限個の不変量が定まるが、同じ不変量を持つ曲面を移しあうループ群の元が定まるかどうか未解決であり、研究中である。極小曲面のガウス写像の除去値問題については、全曲率有限の仮定をおくとき、曲面の放物性から計量を都合よく共形変形することにより、Nevanlinnaの第2主要定理を用いる欠如指数の評価が改善されることが期待され、現在その方向で研究中である。丹野はE^<m+1>の中の、完備、向きづけ可能で、安定な極小超曲面のL^2調和p形式は0【less than or equal】p【less than or equal】mについて0に限るのではないか、という予想がm【less than or equal】4では正小林は近年弦理論において重要性を増したD-braneのミラー対称性における幾何的帰結について考察した。特に、IIA型超弦理論をCalabi-Yau多様体の上でコンパクト化した理論において、extremal ray のcontractionのファイバーをD-braneのsupportとすると、D-braneのモジュライは(i)Hilbert scheme、あるいは、(ii)全体と同次元の多様体と局所的に同型になると期待される。ミラーシンメトリーでIIB型に移った時に、いくつかの場合は消滅サイクルに対応すべきことを考察した。
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